常に臆病であれ
こんにちは。正月休みの7日間髭を剃らなかったら遭難者みたいになった者です。
あ、遭難といえば新潟県のかぐらスキー場でスノーボーダーが遭難しましたが3日目に無事に救出されましたね。軽い凍傷程度ですんで良かったです。
「また若いスノーボーダーが調子に乗ってロープくぐって遭難した系でしょ。バカだなぁ」と思っている方が多いのかもしれませんが、調べてみると結構ありがちで恐ろしいなぁと思ったので記事にしてみました。
知らなかったのですが、このかぐらスキー場はBackcountryでは有名というか、Backcountry目当ての方が多く来る場所で有ること。北海道だとニセコって感じでしょうか。
この日は山頂に向かうリフトが動く初日。前日は吹雪。当然他のスキーヤーもいた。山頂へ向かう第5ロマンスリフトを降りて150メートル程度登って尾根沿いに右に滑り、右手の中尾根に沿って山麓に降りるつもりだった。(赤ルート) が、前を滑るスキーヤーに付いて行ったら自分が知らない場所に行きそうだったので、ルートを変えた。そうしたらなぜか左手の一ノ沢に降りてしまった。(中尾根の沢だと思って下りた) あとは2日間、尾根を目指して上り、夜は雪洞を掘ってしのいだ。
というのがおおまかな流れです。
このかぐらスキー場、まったく同じルートでの遭難が5年で8件起きていて、一の沢方面に行かないように普段はピンクテープなどの目印があるらしいのですが、この日はバックカントリーオープン初日。テープが無かったのかもしれません。
また、いままでに何度か(5度)来たことがあるし、前方にスキーヤーがいる=危ないところには入っていない という思い込みが判断を鈍らせたのかもしれません。
救出された映像を見ると、全員ヘルメット、ザック、ストックを持っています。写っていませんが、スコップも持ちスノーシューも履いているでしょう。また、夜は雪洞を掘ってエマージェンシーシート(アルミが蒸着してある保温シート)で寒さをしのぎ、アメ、チョコ、ゼリー飲料を食べてしのいでいた。ということを聞くと、最低限の装備と知識はあると思われます。
というか、なかなかちゃんとしてるなと思います。ニセコに入っている人でこれだけの装備をしている人がどれだけいるでしょうか?
後からだと「西と東 間違えてんじゃねーよ」とか「ちゃんとGPSかマップで確認しろよ」といくらでも言えるのですが。実際5回も入ったことある人が西と東を間違うぐらい方向感覚がおかしくなるのが冬山で、そのまま死に直結するという恐ろしさを感じました。
実は、似たようなことを経験してます。
ニセコアンヌプリの山頂までハイクしたところで吹雪いてきて、ささっと下りよーとしたら「そっちじゃないよ」と注意を受けました。あとで確認すると真反対でした。
もひとつ。
数年前までホームゲレンデだった札幌国際。1人でひまだったので、ちょっと冒険のつもりでいつもは踏み入れないエリアに。もちろん山麓までじゃなくってすぐにコースに戻るつもりでしたが、いつのまにかコースから大きく外れていました。
下にマップを張りましたが、これに描かれない小さな沢が沢山あり、沢1本ずれるだけで全然違う場所に出てしまいますし、踏み抜いて沢に落ちることもあります。(数年前死亡事故有り)
この時も沢が行手を阻み、腰までのパウダーをもがくように脱出。「ここで沢に落ちたらだれも助けにこないよなー」と、振り返るとズボッ。スクートにしがみつき落ちませんでしたが、穴が開いていました。
もがいていたのは多分20分ぐらいでしょうけど、人工物が全くなく、聞こえるのは風の音と自分の息遣いだけ。砂漠にポツンと取り残された気分でした。

冬山では簡単に死ねます。札幌国際でも死ねます。札幌国際に行くときにこれだけの装備を持って行けとは言いませんし、自分も持っては行きませんが、GPSだけは持っていくようにしています。あと常に臆病でいるぐらいでちょうどいいと思います。
この遭難事件についてはネットとニュースで調べただけなので間違いがあるかもしれません。ご指摘があればおねがいします。
最後に雪山で遭難したスノーボーダーのブログです。ここまで詳細に状況と心情を綴ったものは珍しいです。是非ご一読を。遭難はすぐ隣に有ることがわかります。
ガスタンクさんのグログ